会話形式で楽しく学ぶ人事労務管理の基礎講座
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文書作成日:2022/01/13


 同業者の総務担当者と話をする機会があり、管理職についても深夜労働をした場合には割増賃金の支払いが必要だという話を聞いた。そこで、労働基準法上において、特に注意が必要な管理監督者の取扱いについて、社労士に確認することにした。

 当社では午後10時以降の労働を原則として禁止しているため、いままで深夜の時間帯に働く従業員はいませんでした。先日、緊急対応で管理職が午後10時以降に働いたのですが、深夜の割増賃金の支払いが必要なのでしょうか?

 はい。管理監督者、いわゆる管理職であっても、深夜時間(午後10時から翌日午前5時まで)に働いたのであれば、深夜時間に対する割増賃金の支払いが必要になります。

 でも、管理職には残業代を払わなくてもよいですよね?

 管理監督者は、労働基準法第41条で、労働基準法第4章等で定める労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外されています。つまり1週40時間、1日8時間の労働時間、原則60分以上の休憩、原則週1回の休日について、その規定が適用されません。1日8時間というルールが適用にならないので、8時間を超えて働いても時間外労働とならずに、その結果、残業代を支払う必要がないということになります。

 なるほど、残業をしても残業代を払わなくてもよいというより、残業という概念がないというイメージですね。

 はい、そうです。一方で深夜の割増賃金は、労働基準法第37条で深夜時間に労働させた場合は割増賃金を支払わなければならないとしています。管理監督者についても、この部分は適用が除外されていないことから、深夜労働に対する割増賃金は支払う義務があるのです。

 なるほど、管理監督者は残業代などの割増賃金を支払う義務がないと誤解していました。

 そのように誤解されているケースは多いように思います。その他、誤解されやすい事項として労働時間の把握義務の取扱いもあります。労働時間の把握や管理は2017年1月20日に厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に沿って行う必要があります。

 当社も、このガイドラインに基づいて労働時間の管理をしています。ただ、管理職は残業代を支払う必要がないということで、本人に管理を委ね、勤怠の打刻はしていない状況です。深夜労働の割増賃金を払う必要があるとのことでしたので、どのように時間を把握しようかと考えていました。

 なるほど、実はこのガイドラインの中で、「ガイドラインが適用されない労働者についても、健康管理を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務がある」とされています。

 健康管理の観点から、過重労働となっていないか等、管理する責任が会社にあるということですね。そうなると、先ほどの深夜割増の対象となることも含め、管理職も労働時間を把握する必要性がありますね。

 そうですね。管理職の方も当然、人間ですから健康障害に繋がるような過重労働は防止する必要があります。さて、もう一つ、労使協定を締結する際などに選出する従業員の過半数代表者について確認します。管理監督者は従業員の過半数代表者になることができないということはご存じかと思いますが、過半数代表者の選出する際の労働者数には含まれるので注意が必要です。

 管理職も含まれるのですか!?

 はい。過半数代表者を選出する際の労働者数となる従業員に、パートやアルバイト等が含まれることは理解されていることが多いように思いますが、管理監督者について含まれないと誤解されていることがあるようですね。

 なるほど。今後、従業員の過半数代表者を選出する際には、注意したいと思います。

>>次回に続く



 労働時間の把握に関連して、労働安全衛生法で求められている労働時間の状況の把握について補足します。労働時間の状況の把握とは、従業員の健康確保措置を適切に実施する観点から、従業員がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものです。把握する対象者には、管理監督者等も含むことになっています。割増賃金の支払いの要否とは別で、労働時間等の把握義務がある点を忘れないようにしましょう。

■参考リンク
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/070614-2.html
厚生労働省「働き方改革関連法により2019年4月1日から「産業医・産業保健機能」と「長時間労働者に対する面接指導等」が強化されます」
https://www.mhlw.go.jp/content/000497962.pdf

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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